賃金があがらない不思議

わが国では、1997年以来賃金があがっていないようですが、賃
金があがらないシステムがあるのかもわかりません。

ひとつは、労働組合です。
大手企業の労働組合は企業内組合ですが、諸外国では考えられな
い組織形態です。
企業別組合とは、同じ会社の労働者が、職種とは無関係に集まっ
て組織された労働組合です。
日本の民間部門の労働組合の9割以上は企業別組合であり、労働
組合員の9割近くが企業別組合に組織されています。

他方、欧米では、産業別組合が当たり前で、当該産業内で使用者
団体や大企業等と交渉を行い、企業横断的な賃金・労働時間等の
最低労働基準を設定する活動を行っています。

現状をみていると、企業内組合の場合、大手企業が中心であり、
労働者全体の意思が反映されていない、と思われます。
中小企業は、日本の労働人口の約70%ほどを占めていますから、
賃金があがる前提がないにも等しい、と考えられます。

賃金は獲得するものですが、立場が弱い中小企業の労働者は、
賃金をあげるシステムが皆無でしょうか。
今から産業別や職種別の労働組合を結成しろというのも無理筋
の話です。
ゆえに、私は最低賃金1,500円を目指せと書いています。

ふたつめは、大手企業の利益優先経営です。
原価を下げる(下請へ値下げ要求する)、工数を下げる(一部の
企業は不正や詐欺まがいの行為をしながら)、あるいは総額人件
費を減らし、とあらゆることをやりながら利益を追求したのです
から、賃金(総額人件費)があがるわけがありません。

ここは、不思議の国です。
国が主導的立場で最低賃金をあげるしか、賃金が上があがる保証
はないのではないでしょうか。
しかし、賃金が上がっても社会保障費が上がり、税金が上がり、
と。。。
可処分所得は増えるのでしょうか。。。

不思議の国の未来は、案外、所得が増えない世界なのかもわかり
ません。