基礎を作るのに6年?

新規に立ち上げた企業は、基礎を作るまでに最低6年ほどかかった
でしょうか。
ソニーという大きなバックがあっても、子会社が企業の基礎を作る
のに6年かかったということは、なにもバックグラウンドがない企
業では、それ以上に時間がかかるということです。

中小企業をみていると利益部門、いわゆるプロフィットセンター経
営です。
経営者に言わせれば、当たりまえだというでしょう。
利益があってはじめて企業の継続的な活動ができるからです。

私は、この前提のうえに、人材育成や将来に向かった投資をどのよ
うにできるかを考えています。
多くの企業は、365日同じことを繰り返しています。
経営者も従業員も楽だからです。

新たな挑戦をするということは、少なからず苦痛が伴うものです。
その苦痛を面白さに変える人材が必要です。
「超企業・組織論」高橋信夫著では、そのような人材は、企業全体
の5%くらいだと記しています。
私のソニー子会社時代の経験では、厳しく言えば2%です。

企業の成長のための基礎を作る人材をどのように探すか?
実戦的にやる以外ありません。
だからこそ、部門経営者育成が必要なのです。

中小企業ほどチャンスはあるが?

事業展開に関しては、中小企業ほどチャンスがあります。
理由は、変幻自在に事業を進めることが可能だからです。
問題は、資金と人材です。

現状、ある程度の事業展開ができており、社員数50名前後であれ
ば本当の意味でチャンスです。
この場合、資金より人材の育成です。

はやい段階で社員を中心とした事業展開を試みる機会が必要です。
また、長期戦になりますから焦らず着実に実行していくことが求
められます。

スピードばかりにとらわれていては物事は成就しません。
会社の成長は、今の時代でも20年、30年の単位でしょうか。
しかも、人材が起点となるということを忘れてはなりません。

逆をやっている企業を多くみてきました。

管理会計があいまい?

私が在籍した企業、とくに株式上場を目指している企業では、上場の
要件として部門別の事業計画をだす必要があります。
詳しく知りたい方は、「IPOにおける予算管理制度の整備」を参照く
ださい。
私が在籍した企業では、ほとんど管理会計が曖昧でした。
これまでやったことがないのですから、わからないのは当たり前です。
問題を厳しく言えば、証券会社、監査法人などの言いなりになって上
場準備を進めてしまうことでしょうか。
ある種、IPO村的な集まりになっているので注意が必要です。

経営者がこれらの機能に従順になってしまうことです。
専門性が高いということで信頼してしまうようですが、のちに大きな
後悔をすることになります。
証券会社や監査法人などに持ち上げられますからね。
気持ちよくなるのでしょう。

上場した途端、自らの責任で管理会計を運用しなくてはなりません。
理解できている社員がいない。
勢い、企画部門や経理部門が、経営者と事業計画を作り、現場は理解
できていないまま管理会計を運用させられます。

当然ですが、現場のモチベーションがあがるはずがありません。
順序が逆なのです。
まず、部門責任者(部門経営者)を育成しなければなりません。
しかも、部門責任者が経営するということを自覚した上で、管理会計
ははじめて効果的な運用が可能です。

上場を急いだ企業は、業績不振やまともな業績開示ができなくなり、
現在、当時の企業の姿はありません。
経営者もどこへいったのか???

株式上場は後、部門経営者育成と管理会計の運用実績が先です。

管理会計はかなりやっかい?

管理会計では、利益を生み出す課や部を利益単位、いわゆるプロフィット
センターとして機能させます。
また、管理部門のような利益を出さないセクションは、コストセンターと
して把握します。

言葉では簡単ですが、実際に課や部単位で機能させるためには、例えば、
オフィスの賃貸料(家賃)は、課や部が使用する面積に応じて家賃を割り
出さなけれなりません。
また、リフレッシュコーナーなどは共通費として総務部が家賃をもつとい
った取り決めをおこないます。

総務部では、面積を割り出すためにCADで図面を引き、各課や部ごとの
家賃を試算します。
家賃に限らず、課や部別に給与、法定福利費、あるいはリース費用などを
集計して予算資料としてまとめなければなりません。
現在では、管理会計ソフトである程度のことはできますが、正確な費用を
もとめる場合、やはり詳細な検討が必要になります。
しかも、ソニー子会社時代のように課や部の統廃合が頻発すると管理会計
は大変な作業になります。
このような変更は基準日を決めて実行しますが。。。

管理会計を実施する場合、企業の運営実態、課や部の統廃合が多いのかど
うか、といった企業独自の運営状態を把握したうえで実施していかなけれ
ばなりません。

一番やっていけないことは、管理会計にしばられて企業運営の柔軟さを失
うことです。
人間は安定している状態に安心感をもつ生き物です。
事業が安定し、管理会計も順調ならいいのですが、いったん企業の発展ステ
ージを大きく変える場合など、いろいろな仕組みを改革することになります。
そのとき必ず管理会計などの変更ができません、といったエクスキューズが
でてきます。

所詮、管理のための会計の仕組みですから、事業プロセスが変わっていけば
管理会計も変更していくべきです。
なんのための管理会計かをよく理解して運用することです。

管理会計が先ではなく、常に事業あっての管理会計です。

企業会計と税務会計

大手企業と中小企業における会計に関する違い
は、結論から言えば、大手は企業会計をベース
に会計処理をおこない、中小企業の多くは税務
会計です。

辞書などによれば、企業会計とは、主に営利企
業に対し適用される会計手続きの総称。
企業の事業活動を定量化した情報の提供、分析
を目的として実施される。
なお企業会計は、その目的により財務会計と管
理会計、税務会計に分けられる。
財務会計の目的は、企業外部の利害関係者に対
し、企業の財務状態などの情報提供を行うこと
である、となっています。
企業会計に関しては、国際会計基準もあり、複
雑化しています。

中小企業の場合は、税務会計中心に会計処理を
しているところがほとんどでしょうか。
税法に基づいて会計処理をしているということ
になります。

大企業や上場企業の場合、財務諸表は会社法や
金融商品取引法、国際会計基準などさまざまな
会計基準にしたがって作成されます。
一般的には、会計基準に準拠した形で作成され
る財務諸表をベースに、税法で要請される調整
を加え、税務申告用の所得を決定するプロセス
をとります。

中小企業の場合、一般的に最初から税法に準拠
した形で財務諸表が作成されます。
最初から税法ベースで作成されるケースが多い
ので、中小企業の財務諸表は税務申告のための
根拠資料という意味合いが強くなるようです。

他方、大手企業では、例えば固定資産や棚卸資
産の除却などに関して企業会計ベースで社内基
準を設けて会計処理をしています。
必ずしも税法基準ではありませんから、有税
(税金を納付する)で会計処理をする場合もあ
ります。

小企業や個人事業の場合は、このような会計処
理はしませんので、原則、固定資産など税法ど
おり原価償却することが大半でしょう。
税法上、税金を最小化する会計をしているとこ
ろが多いのではないでしょうか。

中小企業や個人事業主が優遇される

大手企業や上場を目指す企業勤めが長かった私
は、中小企業や個人事業主に関する税知識が必
要になります。
特に中小企業や個人事業主が税制で優遇される
ケースが結構あるので、その知識を吸収するだ
けでも大変です。
多くは、顧問の税理士さんに教えていただくこ
とになります。

なかでも固定資産は、消耗品として購入してい
ることが多く、大手企業などとはかなり違った
ルールになっています。
大手企業などの場合、10万円超える備品等を購
入すれば、固定資産として計上しなければなり
ません。
しかも、固定資産台帳を作成して、各資産に固
定資産番号を貼り、年2回実地棚卸をおこない
ます。
この手間だけでも総務部門や関連部門は大変な
作業になります。

中小企業の場合、10万円を超え30万円未満の備
品などを購入した場合、年間300万円を限度に取
得価額の全額を損金算入(即時償却)すること
ができる特例が設けられています。
もっとも、少額減価償却資産の特例措置ですか
ら適用される期間があります。

それでも中小企業や個人事業主には手厚い優遇
策で、大手企業などからみれば厚遇されている
と思います。
このような優遇政策は、税制で決まりますから、
私は、常に顧問の税理士さんと連携しながら記
帳していくことになります。

私自身も個人事業主ですから、この制度を大い
に利用させてもらっています。