大手企業と中小企業経理のむずかしさの違い

経理の仕事をしていると、中小企業の経理は、大手企
業と違うむずかしさを感じます。
理由は、経理処理が千差万別だからです。
いわゆる簿記でならったような仕訳ばかりではありま
せんし、発生主義会計現金主義会計がまざっている
のも特徴でしょうか。
大手企業では考えられない対応が求められます。

大手企業や上場を目指す企業では、その前提となる会
計処理が厳格だからですが、厳格とは別な言葉で言い
直せば会計処理が標準化されているということです。
その上、会計システムが充実していますので、比較的
経理の仕事は単調なものでしょうか。
むしろ月次決算のために経理処理の正確さとスピード
が要求されます。

もっとも、大手企業などでは、管理会計が必要になり
ますので、こちらの対応のほうが非常に多くの作業時
間を取られます。
現場と会計をつなぐ部分は、人が介在すればするほど
複雑化していきます。
現場要素を会計的な指標に落とし込むことが求められ
、現場をひとつの経営単位とみなしていくことで経営
判断的な要素も入ってきます。
きめ細かな部門運営をすればするほど、会計的な対応
も複雑化していきます。

他方、中小企業では、管理会計をやっているところも
あるでしょうが、私が対応している企業ではそこまで
やっておりません。
むしろ経理処理は、企業規模や従業員数、個人か法人
かで結構違いがあります。

大手企業などと大きく経理処理が違うのは、その処理
をする期間でしょうか。
大手企業などでは月次決算をおこなっていますので、
日々の経理処理に追われます。

一方、中小企業では、2か月、3か月、6か月、遅い
場合は1年間まとめて伝票等を計上することです。
月次で対応するところが圧倒的に少ないのが現状でし
ょうか。
中小規模では、自ら商売してますから、月次の売上と
経費、そして大雑把な利益は、およそわかります。
あわてて経理処理を依頼する必要もないのです。
どちらかと言えば、確定申告のために経理処理をして
いることになるでしょう。

それでも電子帳簿保存法の施行により、ルールに乗っ
取った対応が必要になってきます。
私は、可能な範囲で電子帳簿保存に対応していくよう
アドバイスしています。

何事も一気にやるといろいろなところに支障がでるか
らです。
また、私は大手企業で経理をしてきた関係で月次処理
が体にしみついているようです。
自らの会社(個人事業)の記帳でも、昨年から電子帳
簿保存にし、2か月以内に請求書や領収書の記帳をお
こなっています。
このやり方のほうが、会社勤めの時代と同じで自分に
はあっています。

また、この方法だと、最終的に確定申告前に記帳内容
を十分チェックをすることができ、節税対策も可能に
なると考えています。

着実に企業を伸ばす

昨日、経営者の資質で書きました私が在籍していた企業
では、私が入社するまで、ある大手コンサルタント企業
出身の経営企画部長が経営戦略を立案していました。

私は人事総務担当で入社しましたが、時を経ずして経理
部門をみてほしいということを言われました。
なんだか変だと思いましたが、引き受けた以上、しっか
りとやらなければなりません。

結論から言えば、また、詳しいことはここにかけません
が、サギをおこなって利益を計上していました。

この経営企画部長は、このような状況を理解していたの
か、早々にこの企業を退社しました。
しかも、この企業に出資していた企業に転職してました。
その後、この出資企業も出資を引き揚げて、この企業と
かかわりをもたなくなってしまいました。

このような実態ですから上場を中止すべきだ、とアドバ
イスして、私はこの企業を去りました。

この後、この企業は、減資し、監査法人との契約を終了
し、非上場企業として今日に至っています。
それでよいのです。
身の丈に合った企業運営することが、経営の常道だから
です。

私がみてきた限り、背伸びした経営を希望する企業が多
すぎます。
企業経営のポイントは、自らの利益の源泉をしっかりと
抑えて、お客様に納得してもらえる活動をおこなうこと
につきます。

企業活動の中にある会計情報とは、経営の実態を把握す
るためのツールのひとつでしかありませんが、それでも、
会計基準に乗っ取った企業会計を実行することで経営活
動の一端を知る重要な情報源となります。

その意味で正しい会計情報は、着実に企業を伸ばすこと
ができる情報のひとつと言えるでしょう。