飲食業の回復

私が記帳している個人事業主さんで飲食業を営
んでいるお店では、昨年の経営状態では、これ
から先どうなるのかと心配していましたが、今
年4月に入ると、コロナ前の60%くらいまで回
復してきました。

このような経営をみるにつけ、これまで事業主
さんがやってきたことがみえるようです。
やはり、まじめにお店を運営してきたという信
頼でしょうか。
コロナが今のような状況であれば、あまり遠く
ない将来コロナ前まで回復することは間違いな
いでしょう。

この事業主さんは、支払関係が実にきちんとさ
れている方で、厳しい状況下でも家賃や仕入商
品の支払いを滞りなくおこなっていました。
おそらくお客様だけでなく、取引先からも信頼
を得て仕事をされているのだと思います。

売上の回復状況をみると、商売の原点は、なに
より信頼なのではないか、と私は考えています。
自分の範疇をくずさずコンスタントに事業を継
続されている姿に敬服します。

事業には成長も必要ですが、自分をわきまえて
コンスタントに事業をおこなっていくことも大
事なのかもわかりません。
むしろ個人事業主さんは、このような経営スタ
イルで確実に試練を乗り越えておられます。
また、平時には、しっかりと利益を出している
点でもひとりで事業をおこなう方は、ある規模
までと決めて事業を進めることが重要なのでは
ないか、と気づかされます。

P/L、B/Sから見える身近な経営状況

仕事柄バランスシートや損益計算書を見る機会が多い
ので、企業や個人事業主の方たちの経営環境を身近に
知ることができます。

損益計算書から言えることは、コロナ化の経済情勢を
反映して売上が下がっていることです。
それでも中には、前年度の3倍近く売上を伸ばす個人
事業主さんもいます。

共通する経営活動ですが、売上を確保していくために
取引先の新たな開拓をやっておらることです。
このような方法で売上の減少幅を少なくする努力をさ
れています。
また、これまでひとつの案件の受注額が大きくなって
いましたが、当然、経営環境が厳しくなれば一件当た
りの受注額を下げて小さな案件、いわば受注額がこれ
までより低い案件を数多く受注することで売上の減少
を食い止めようとされています。

その点、飲食業は休業や時短営業などの国や都道府県
による政策に大きく影響されますから、自らの努力に
は限界があります。
他方、この業界は、まん延防止協力金など給付金、あ
るいは雇用調整助成金の支給があり、個人事業主さん
や小さな事業者さんは、当面事業継続のための資金は
なんとか確保されています。
しかし、なんといっても本当にお客様が飲食業に戻っ
てきてくれるかどうかは未知数です。
コロナ感染の影響を受けながら、今後、売上確保がで
きるかどうかという厳しい現実に直面しておられます。

損益計算書の状況は、前述したとおりですが、バラン
スシートから見える経営環境は、事業規模が1億円を
超える企業では、長期借入金が増加していることでし
ょうか。
他方、銀行預金の残高も多額になっております。
このことは、一時的にコロナ融資などを受けています
が、資金が枯渇するような経営状態にはなく、借入れ
た資金が、そのまま銀行預金に留まっているというこ
とです。
ただし、利子や元金は返済していますから、借入れた
ままの金額が残っているわけではありません。
もっとも、一部には1年間返済猶予されている借入金
もあります。

このようにみてくると私が知る限りの範囲では、売上
は減少しているが、なんとか自力でがんばりって売上
を確保しておられます。
融資(借入金)されたお金を使うような経営状態には
ありません。

コロナ化、引き続き今年の経営環境がどうなるかわか
りませんので、手元資金を厚くした状態といえるので
はないでしょうか。

個人事業主さんは、借入などされることもなく売上を
確保されていますし、むしろ法人より勢いがあるよう
に感じます。