多様な意見をくみ上げられるか

企業というところは、本来、硬直した構造をもっていますが、
それでも多様な意見をくみ上げる仕組みをつくれるか、という
疑問があります。

結論からすれば、仕組みをつくる努力をすることです。
社員の企画提案をあげていく仕組み、さらにそれらを審議する
仕組みが必要になります。

審議する仕組みには、できる限り多様な人をいれておくことで
議論が煮詰まります。
ただし、日本人だけの問題ではありませんが、多様な人を集め
てもトップが権力集中型(独善タイプ)では、審議する仕組み
は機能しません。

私も少なからず経営者をみてきましたが、やはり多様な意見を
汲み取る仕組みを動かすことができる人は、少ないと思いまし
た。
その意味では、経営トップを選ぶとき、その人のどのよう要素
をみて選抜するかは、非常に重要なのかもわかりません。
しかも、多様な意見をくみ取る仕組みは、長期的な視点がなけ
れば運用できないでしょう。

この点は、日本人が苦手な分野でしょうか。
日本人は、比較的短期志向ですからトップダウンといえば聞こ
えがよいのですが、いわゆるワンマン経営型が多いように感じ
ます。

それでも、長期的な視点で多様な意見をくみ取る仕組みを構築
している企業の業績はよいようです。

マネジメント経験を伝えることはできるのか?

ソニー子会社時代のマネジメントを分析できるのか、と長く考え
ていました。
あまり例がないマネジメントスタイルですから。。。
ソニー子会社以外にお目にかかったことがないわけですから、世の
中を探しても間違いなく少数派でしょう。
中小企業には、このようなマネジメントやっているところもあるの
かもわかりません。

それにしても人に伝えるのがむずかしい。
そこで今読んでいる「失敗の本質を語る」野中 郁次郎 (著), 前田
裕之 (その他)を参考にしてみます。

リッカート は、 原因 変数 → 媒介変数 → 結果 変数 という モデル
を つくり まし た。 原因 変数 は、 小 集団 の メンバー が リーダ
ー を 支持 する 関係、 連結 ピン 組織 と 高い 目標、 媒介変数 は
上司 に対する 好意的 な 態度、 高い 信用 と 信頼、 優れ た コミュ
ニケーション、 集団 への 強い 帰属 意識 などからなり、 低い 欠勤
・転職、 高い 生産性、 少ない スクラップ、 低い 原価、 高い 収益
という 結果 を もたらし ます。   バークレー では、 米 ミシガン
大学 で リッカート の 同僚 で ある アーノルド・タンネンバウム が
客員 教授 として リッカート 理論 を 教え た の です が、 クラス
を 重複 する 小 集団 に 分け、 まさに 連結 ピン 組織 を 編成 し て
参加 型 の 授業 を 展開 し まし た。   小 集団 が 自ら 高い 目標
を 求める よう に なる と 生産性 が 高まり ます。 集団 の メンバー
を 従わ せる 力 には、 合法 力( 組織 から 公式 に 与え られ た
権限 に 基づく 力)、 報償 力( 報酬 を 与える 能力 による 力)、
強制力( 処罰 が できる 力)、 専門 力( 自己 の 持つ 専門的 な
知識 によるによる 力)、 同一 力( 一体感 に 基づく 力) が あり
ます。 この なか で 最も 範囲 が 広い のが 同一 力 です。 人間 が
他人、 集団、 規範、 役割 などに 同一性 を 認める と 拘束 さ れる
力 を 指し、 集団 の メンバー との 一体感 と 言い換え られ ます。

個人 の 友情 や 愛情、 忠誠 による 自己 統制 は 同一 力 による 統
制 で あり、 強い 拘束力 を 持ち ます。 集団 の 目標 が 自己 の 目
標 に なる ので、 目標 の 達成 に 向け て メンバー は 懸命 に 努力
し ます。 メンバー は 自発的 に 動く ので、 統制 さ れ て いる と
いう 意識 は 弱い の です。 メンバー 間 に 強い 統制 力 が 働き、
生産性 が 高まり ます。 リッカート 理論 は、 凝縮 さ れ た 集団 が
同一 力 に 基づく 統制 に従う、 理想的 な 管理 の 姿 を 示し た の
です。 タンネンバウム は、「 愛情 に 基づく 統制」 と 表現 し て
い まし た。   個人 と 個人 の 人間関係 論 では なく、 組織、 チ
ーム を ベース に し た 人間関係 論 で あり、 日本 の 実態 に 近い
内容 でし た。 組織 の 社会心理学 と 呼ん で いい でしょ う。

上記の内容に近いマネジメントがソニー子会社に存在していました。
ただし、私が在籍していた時代は、社員数は120名~300名です。
私の経験では、50名くらいから300名くらいまでが、企業が一番お
もしろい時代、玉石混交、いわば発展可能性を秘めた時代だ、と考
えています。
日本的マネジメントとは違います。
個人の独自性が尊重されるので、日本的な組織中心型(親分、子分
型)ではありません。
あえて言えば、役員から従業員までフラット型と呼んだほうが合う
のかもわかりません。

仕事は、理屈でないから面白い。
しかし、理屈を学ぶことを忘れてはなりません。
自分に酔い、溺れるからです。