横領事件の根底にあるもの

私が会社勤めをしていたとき、ある企業で業務
上横領事件がありました。
簡単に言えば、部長クラスの人間が、部品(半
導体)を横流ししていました。
総額でいけば、1億円を超えていたと思います。
横領したお金は、女性や競馬などに使っていた
ようです。

担当者だった私は、原価管理システムのデータ
を調べること、1年くらいかかったでしょうか。
あることに気づきました。
同じ製造番号が何度も使われていることです。
ソニー時代も原価管理をしていましたが、一度
製造が終了すれば同じ製番がでてくること自体
ありません。
製番は、一度しか使われませんし製造が終了す
れば、システムにロックがかかり同じ製造番号
を入力することができません。

問題は、このように何度も同じ製番を入力でき
るシステムを放置しておいたこと、また、製番
管理を経理部門がきちんとやっていればすぐに
発見できる事例でした。
さらに実地棚卸をすれば、すぐにわかります。
その点も甘いのです。
当事者、横領している部長が棚卸をしていまし
た。
開いた口がふさがりませんとは、このことです。

このように経営管理が甘いと簡単に横領などが
おこなわれてしまいます。

仕事というのは、原点があります。

なぜ、実地棚卸をするのか。
なぜ、システムをロックするのか。
なぜ、内部けん制が必要なのか。
なぜ、内部監査は必要か。

仕事の基本を忘れている企業に未来はありません。
仕事の基本がない人間たちが日々仕事をしている
企業では、けっして悪い人たちではありませんが、
その人たちの存在が企業の中に悪い人間を生む土
壌を作るということです。

当然ですが、その企業は消滅しました。