日本では転職者がうまく機能しない

私は相当多くの転職をしてきましたが、やはり失敗の部類でしょう。
それでも私自身が属人的な付き合が嫌いですから、長く会社勤めし
た人たちと違い、会社における人間関係はほとんどありません。
また、私自身がそのような関係をつくることを避けてきたことがあ
るのかもわかりません。
結果として、私自身は、自分が望む環境を手に入れた、と感じてい
ます。

日本で転職がうまくいかない理由は、人を中心に仕事が動くからで
す。
もっとも、日本以外でも人が仕事を動かすのは同じですが、外資系
に少しだけいて感じたことは、人よりは仕事が中心になっているよ
に思えます。
これはこれで問題もあるのですが。。。
それでも属人的な部分(親分子分的な)は少ないような気がします。

ソニー子会社(当時)時代は、和洋折衷という感じ。
仕事は、あくまで機能中心、仕事が終われば属人的な要素あり、と
いうようなところでしょうか。
仕事の機能を担う部分と人間的な部分のバランスが取れていました。
さらに、内部監査機能が実効性あるものとして存在しており、自分
の立ち位置が明確でした。
それにもともと転職者で作ってきた企業というソニーカルチャーの
ようなところがあり、転職者だからというだけで排除されたりしま
せん。
勿論、仕事の機能を担うことができなければ、相応の人事処遇はあ
りますが。。。

私がみてきた範疇ですが、このようにバランスが取れた企業はどこ
にもありませんでした。
日本社会が、今だ親分子分を背負っている社会ですから、日本企業
とて十分このようなカルチャーがあるのではないか、と推測してい
ます。
転職者にとって能力が発揮できないのは、この国の文化に由来する
日本人の中にある集団依存性にあるのかもわかりません。

日本電産の後継者問題をみるにつけ、この国のオーナー企業系の会
社は、プロパー社員や血縁から後継者を選んだほうがよい気がしま
す。
ソニーでさへ盛田さんの後は、岩間さんで奥さんが盛田家の人です。
その次は、大賀さんです。
盛田さんの親戚(実際は違いますが)のような感じでしょうか。
やはり、後継者が転職組になるまでは、企業の成長と同様、長い時
間軸でみていく必要がありそうです。
人間は、複雑なようで単純な生き物でしょう。

経営者の後継でない転職者は、ソニーのようなカルチャーをもって
いるところを探すことが一番でしょうか。
企業文化は、とても大切な要素ではないか、と私は考えています。

転職は実験場か?

私は転職回数が相当多いですから、転職エージ
ェントなどから声がかかることがないタイプで
す。
もっとも、そのようなことを気にして生きてい
くタイプでもありません。
私の人生そのものが、実験場のようなものでし
ょうか。

その意味でも私の転職は実験場だったようです。
失敗が多い実験場でしたが。。。
それでも、面白かったの一言です。

まじかにみる経営は、生きた学びそのものです。
経営状況が悪くなる企業に共通するのは、唯我
独尊でしょうか。
井の中の蛙大海を知らず、ということです。

人間の宿命みたいなものです。
経験した以上のことは、なかなか抜け出せない
のです。
これは、私自身にも言えます。

抜け出す経営者は、人の話に耳を傾け、権限を
委譲し、実行することができる人です。
簡単なことですが、このタイプなかなかいませ
ん。

数多くの実験場を歩き回りましたが、ソニーの
ようなシンプルな経営スタイルを取ることはむ
ずかしいようです。
ほんとんどの経営者が、自分の範疇で勝負しよ
うとします。
だから、失敗するのですが。。。

それに比べると、はるかに社員のほうが優秀で
す。
ちょっとレクチャーすれば、能動的に行動する
ことができます。
実験場の中は、結構有能な社員の集まりでした。
この事実だけでも貴重な経験です。