監査法人が解散

昨日、ダイヤモンドオンラインを読んでいましたら、監査法人が
解散という文言が目にとまりました。
費用を過小計上する不適切会計が発覚したが、解散した監査法人
は見抜くことができなかったようです。
22年6月には日本公認会計士協会の「上場会社監査事務所名簿」
からも抹消され、この時点で事実上、監査法人としての命運は尽
きたといえる、と記事は書いています。

ソニー子会社時代の経験から言えば、監査法人だけの問題ではな
いのではないか、と推測します。
大手企業の日常業務は、繁忙極まりないというのが実態でしょう
か。
その中で適正な会計処理をするということは、日々正しい会計処
理が必要になります。

ソニーのように優秀な経理管理職がいたとしてもすべて網羅でき
るわけではありません。
そこで内部監査室が徹底的に監査をおこないます。
業務監査は、毎年抜き打ちで監査をやります。(当時)
会計監査は、3年に一度ですが、徹底的にやられます。
監査が終われば、社長経由で監査報告書とともに、業務改善指示
書がきて、担当者は指定された日時までに改善報告書を監査部門
へ提出します。(当時)

このように日常業務では上司から適正な会計処理を指示され、監
査においてさらに厳しく指摘を受け業務を改善します。
上司が判断つかない場合、ソニー本社経理や公認会計士などに相
談しながら日々の業務の適正性を確保します。

三様監査といい、それぞれの役割に応じて監査がなされますが、
そのような機能をもてない企業(未上場)では、企業会計をおこ
なう場合、少なくとも公認会計士を顧問にして月次で問題点をク
リヤしておくことが求められます。

日本企業は利益だけ求めますが、上場企業であれば、また、上場
を目指そうとする企業では、適切な投資(公認会計士などを顧問
にする)をおこなっておくことが企業のスピードある事業展開に
は重要です。

会計処理だけではありませんが、会計処理を甘くみる企業に未来
はないでしょう。

企業会計と税務会計

大手企業と中小企業における会計に関する違い
は、結論から言えば、大手は企業会計をベース
に会計処理をおこない、中小企業の多くは税務
会計です。

辞書などによれば、企業会計とは、主に営利企
業に対し適用される会計手続きの総称。
企業の事業活動を定量化した情報の提供、分析
を目的として実施される。
なお企業会計は、その目的により財務会計と管
理会計、税務会計に分けられる。
財務会計の目的は、企業外部の利害関係者に対
し、企業の財務状態などの情報提供を行うこと
である、となっています。
企業会計に関しては、国際会計基準もあり、複
雑化しています。

中小企業の場合は、税務会計中心に会計処理を
しているところがほとんどでしょうか。
税法に基づいて会計処理をしているということ
になります。

大企業や上場企業の場合、財務諸表は会社法や
金融商品取引法、国際会計基準などさまざまな
会計基準にしたがって作成されます。
一般的には、会計基準に準拠した形で作成され
る財務諸表をベースに、税法で要請される調整
を加え、税務申告用の所得を決定するプロセス
をとります。

中小企業の場合、一般的に最初から税法に準拠
した形で財務諸表が作成されます。
最初から税法ベースで作成されるケースが多い
ので、中小企業の財務諸表は税務申告のための
根拠資料という意味合いが強くなるようです。

他方、大手企業では、例えば固定資産や棚卸資
産の除却などに関して企業会計ベースで社内基
準を設けて会計処理をしています。
必ずしも税法基準ではありませんから、有税
(税金を納付する)で会計処理をする場合もあ
ります。

小企業や個人事業の場合は、このような会計処
理はしませんので、原則、固定資産など税法ど
おり原価償却することが大半でしょう。
税法上、税金を最小化する会計をしているとこ
ろが多いのではないでしょうか。