良い経営者はバランスシートの右下と左上を鍛える

経営活動では損益計算書が注力されますが、経営者はB/Sをみ
ておくことが重要です。また、良い経営者ほど自己資本と現金
・預金を着実に積み増していきます。

良い経営者は経営活動で利益を出し納税し、自己資本が増加す
るとともに現金・預金が増えていきます。意図的に納税を避け
る場合、必ずキャシュアウトします。現金・預金、自己資本が
積みあがりません。

簡単なことですが、この理由を理解できていない経営者は多い
ものです。自転車操業になる前に、経営の原理原則を知ること
からはじめましょう。

どうしても先を急ぐ

中小企業の経営が順調なとき、経営者は、どうしても先を
急いでしまいます。理由は、事業を拡大できるチャンスだ
からでしょう。
事業が順調であれば事業拡大のための融資を取引銀行から
前向きに検討してもらえるものです。

しかし、失敗した事例を実際に、あるいは書物などから学
ぶと、順調なときにこそ失敗の原因が生まれていることが
わかります。
経営者が事業の拡大を目指すのは当たり前なのですが、失
敗の多くは「人」にいきつきます。

人材の育成が事業拡大に追いつかないのです。当然、拡大
できたことは良いのですが、店舗や支店運営が杜撰なもの
になっていくようです。そこから事業の展開が足踏みし、
成長力を落としていきます。

経営は順調なときほど慎重でなければなりません。経営を
拡大させるための人材がそろっているのか、自問自答して
みてください。
人材なき事業拡大は、いずれ砂上の楼閣となることは明ら
かです。

事業拡大において「人材の育成」こそが、先ず優先事項で
す。人材育成のために、立ち止まる勇気も必要でしょうか。

すべては人がベース

私は経営管理について執拗に書いていますが、書くだけでは机上
の空論です。
経営とは、なにが基本か、を考えればすぐにわかります。
「人」です。
世の中に多くいるのも「人」、少ないのも「人」とは、新将命さ
んの本の中にある言葉です。

経営管理ができていなくとも「人」がいれば、うまくいっている
企業もあれば、失敗する企業もあるということです。

なにをおいても企業の基盤は「人」なのです。
「人」がいなければ、経営管理など不要です。
経営管理を事業運営の中で体現できる「人」がいてこそ、社会の
中で事業を適正に成長させ、企業の継続的な発展を担うことが可
能となります。

なにをおいても「人」が経営の中心であることは間違いありませ
ん。
どのような人が必要か、経営者自身で解を見出すしかありません。
経営管理は、経営者をサポートする機能(黒子)だからです。

棚卸資産は問題をつくる

棚卸資産ほど会計上やっかいなものはありません。
理由は、恣意的に資産として計上されることが多いからです。

大手企業でも売上が伸びず棚卸資産が増加している場合、棚卸資
産に問題があります。
資産というには、売上に貢献することが前提ですが、売上に貢献
できなくとも資産に計上されていることがあります。
現場に棚卸資産の管理をさせれば、必ずこの棚卸資産は、必要で
す、というでしょう。

資産が売上に貢献できなければ、棚卸資産の除却損を計上したり
、評価損として認識しなければなりません。
現場は、P/Lが減益になることを嫌がります。
もっとも、経営者も減益になることを嫌がりますから、会計処理
は甘くなりやすいものです。

こうして毎期繰り返せば、問題は雪だるま式に大きくなります。
そしてある日、棚卸資産の除却や減損処理をしますが、この時点
になれば、その額が数千万円単位は当たり前で、中に億単位にな
ることがあります。

しっかりとやっているところは、企業で評価基準を定めて恣意的
な棚卸資産評価がなされないよう毎期厳格に棚卸資産を管理して
います。
これも経営管理のひとつとしては、当たり前なのです。

経営者ランキング

先ごろ、次のような経営者ランキングがありましたが、あまり変わ
りばえしません。

【尊敬する日本の経営者は?】(複数回答可、敬称略)
1位:松下幸之助 パナソニック(100票)
2位:本田宗一郎 本田技術研究所(78票)
3位:豊田章男 トヨタ自動車(77票)
4位:柳井正 ユニクロ(55票)
5位:稲盛和夫 京セラ・KDDI(49票)
6位:孫正義 ソフトバンク(48票)
7位:安藤百福 日清食品(47票)
8位:山内溥 任天堂、盛田昭夫 ソニー(43票)
10位:前澤友作 ZOZO(39票)

【調査概要】
実施期間:2022年9月1日~9月2日
調査対象:20歳から40歳の男女400人
調査方法:アンケートツール「QiQUMO」使用

ソニーの井深さんは、10位以内に入っていません。
松下幸之助が1位というのは、経営の神様ということでしょうか。
それにしても若い経営者がいないのが気になります。。。
そういう私も、若い経営者は誰かいますか、といわれてもすぐに
回答できません。

それだけ日本における経営は、小粒になり、成長力が低下してい
るようにも思えます。
群雄割拠ならまだよいのですが、群雄すらいない状況かもわかり
ません。

一つ抜け出すには、まじめだけではうまくいきません。
日ごろから冗談が言い合えるような場が必要ではないでしょうか。
少しだけ若い人たちの仕事にかかわってみて、余裕がない、と感
じるのは、私だけでしょうか。

日本経済全体に成長余力がなくなっているのかもわかりません。

わが家の夏は、犬もエアコン生活

わが家のミニチュアダックスマギーは、5才になり、元気いっぱ
いに毎日生活しています。
もともとダックスは、暑さに弱い犬のようですから、獣医さん
に夏はエアコンを入れてください、と言われています。

電気代は大変ですが、今年の夏の暑さは尋常じゃなかったよう
に思えます。
例年なら10時間くらいエアコンを入れていますが、今年は、18
時間ほどつけていたでしょうか。
夜間も相当な暑さでしたから。。。

犬の健康管理は、毎日気を使いながらおこなっていますが、子
供ともなれば気の使い方はそれ以上でしょう。
そんななかで通園するバスの中で熱中症で亡くなるなど、私に
は考えられないことです。
しかも、昨年も同じ事故があったばかりです。

人間社会は、もとからおかしいのかもわかりませんが、今だけ
をみてもなにかおかしくなってきているようです。
人間でも犬でも命を預かるということは同じです。
とくに幼い子供や犬は、言葉を話せませんから、かれらの態度、
行動から推測して健康や安全をみてあげなくてはなりません。

それだけ、人間が、幼い子供や犬に気がいくことが前提です。
こうも多くの人たちが気がまわらない環境とは、どのような環
境なのか、と思ってしまいます。

経営管理ができていない企業(園)では、このような事故にか
かわった社員(職員)は、法的責任はもとより、一生贖罪と向
き合うことになるでしょう。
企業(園)にかかわらず組織は、一つ間違えば恐ろしいところ
なのです。

私が、経営管理を声高にいう理由があります。

現場で汗をかき、考えて、試行錯誤する

場で汗をかいて、考えて、試行錯誤を繰り返しできる人が少な
いように思うのは、私だけでしょうか。
とくに問題を起こす企業の経営層は、現場を経験したことがある
のか、と思ってしまいます。
あまりに稚拙なことの連続で。。。

また、現場を理解しているが、見て見ぬふりをする経営層もいそ
うです。
こちらは、前者よりさらにたちが悪い。
歴史ある企業に多いようにみえますが。。。
暗黙の了解???

いずれにしても、トヨタではありませんが、現場、現実、現物で
しょう。
トヨタの社長が、現場へ入り込むのは、現物をみて、現実の厳し
さを理解することが必要だからだ、と考えています。

それに比べると不祥事を起こす企業の経営層の顔がみえないのは、
理にかなっているのかもわかりません。
そのような企業を選択するかどうかは、私たち次第ですが。。。

日本企業は上げ底経営になっているのか

近年の企業不祥事は、かなり以前からおこなわれている場合があ
り、とくに製造業でしょうか、すでに経営環境が日本経済の問題
に直面していることを物語っているようです。

私は、度々書いてきましたが、製造業における工場火災や爆発事
故などは不作為の過失だとみています。
本来、プラントなどは定期的なメンテナンスが必要ですが、法定
点検以外の自社点検の大部分は可能な限り省略されてきていると
推測しています。
理由は、簡単にコストを下げれるからです。
昨日報道された日野自動車の排ガス不正データの国への提出は、
20年ほど続いていました。

企業経営が不正をしなければ成り立たない経営とは、まさに上げ
底経営ではないでしょうか。
日本企業は、すでにここまで落ちているのです。

東証改革においても東証の再編効果が見えず、期限なし「経過措
置」に企業の動きが遅いため、上場基準達成に期限設定を設定す
ると、メディアが報道しています。
甘えの構図そのものでしょう。

この国は、すでに世界と戦える土俵を喪失してしまっているのか
もわかりません。
政治の世界とて同様です。

過去の栄光にしがみつくだけでは、次の時代を切り開くことはで
きません。
むしろ、このような時代こそ原点回帰すべきチャンスです。
当たり前のことを当たり前にする。
そこから問題の本質をつかみ取ることこそ経営ではないでしょう
か。

営業の風景が不自然

学校をでて最初に入った企業の仕事は営業でした。
いやでしたが、他に選択肢がなく、採用された企業はここだけ、営
業をやるしかありませんでした。

それでもよい先輩たちや同僚がいてなんとか、営業職をこなしてい
たでしょうか。
それでも私には、この会社の営業の景色は不自然でした。
理由は、月末の押し込み営業です。
売上が不足すると、有力な代理店などに値引きをして大口の注文を
もらうのです。
この景色が私には不自然に映るのです。

まず、頭を下げて値引きしてまで売り上げを上げるのが営業か、と
いう幻滅です。
それから販売促進費の不自然さです。
実需にならないのに代理店へ値引きして、その後、どのように販売
するのか。

押し込んでもすぐに売れる商品ならいいのですが、商品自体が競争
力がなく、押し込んでもその先の販売は私がいた企業が担当するの
です。
当然ですが、さらに販売促進費が必要になったりします。

結論から言えば、この企業(合併)も代理店(倒産・廃業)もなく
なりました。
会計上、大きな問題があると、ソニー子会社へ転職して知ることに
なります。
会計が営業活動における重要なカウンターパートナーになります。

あなたが仕事をする企業の風景は大丈夫ですか。
あたりまえの日々にこそ、真実があるからです。

企業会計と税務会計

大手企業と中小企業における会計に関する違い
は、結論から言えば、大手は企業会計をベース
に会計処理をおこない、中小企業の多くは税務
会計です。

辞書などによれば、企業会計とは、主に営利企
業に対し適用される会計手続きの総称。
企業の事業活動を定量化した情報の提供、分析
を目的として実施される。
なお企業会計は、その目的により財務会計と管
理会計、税務会計に分けられる。
財務会計の目的は、企業外部の利害関係者に対
し、企業の財務状態などの情報提供を行うこと
である、となっています。
企業会計に関しては、国際会計基準もあり、複
雑化しています。

中小企業の場合は、税務会計中心に会計処理を
しているところがほとんどでしょうか。
税法に基づいて会計処理をしているということ
になります。

大企業や上場企業の場合、財務諸表は会社法や
金融商品取引法、国際会計基準などさまざまな
会計基準にしたがって作成されます。
一般的には、会計基準に準拠した形で作成され
る財務諸表をベースに、税法で要請される調整
を加え、税務申告用の所得を決定するプロセス
をとります。

中小企業の場合、一般的に最初から税法に準拠
した形で財務諸表が作成されます。
最初から税法ベースで作成されるケースが多い
ので、中小企業の財務諸表は税務申告のための
根拠資料という意味合いが強くなるようです。

他方、大手企業では、例えば固定資産や棚卸資
産の除却などに関して企業会計ベースで社内基
準を設けて会計処理をしています。
必ずしも税法基準ではありませんから、有税
(税金を納付する)で会計処理をする場合もあ
ります。

小企業や個人事業の場合は、このような会計処
理はしませんので、原則、固定資産など税法ど
おり原価償却することが大半でしょう。
税法上、税金を最小化する会計をしているとこ
ろが多いのではないでしょうか。