経営管理は最低限の機能でしかない

企業経営は複雑な要素でできあがっていますが、実は、経営管理
だけしていればよいわけではありません。
経営管理は、あくまで企業経営のベース(黒子)になるだけです。
経営管理ができていれば企業が成長発展するわけではありません。
理由は、経営管理は過去の情報だからです。
あるいは、企業経営の骨格を支えている仕組みのひとつでしかあ
りません。
いわば経営における最低限の機能でしょうか。
もっとも、それもできていない企業が多いのが実情でしょう。
だから、問題噴出となります。

企業は経営管理をベースにしながら、企業に集う人間が創造し、
ダイナミックに行動することでしか発展はありません。
経営管理はできていても成長が止まる企業は、人間を中心とした
行動原理が欠如していると想像されます。
企業運営において人間を活かすためにどのような機能を構築する
かがポイントでしょうか。
人間の能力をどのようにして企業活動に活かしていけるのか。
答えは、経営者自ら出していくしかありません。

経営管理は、やろうと思えばどのような企業でも可能です。
経営管理だけで企業の競争優位をつくることはできません。
どこまでも経営管理をベースに人を活かす機能をどのようにつく
るか、という人間の創造力が勝負かもわかりません。

私は人間関係が苦手ですが、こと企業活動では、人間を中心とし
て行動し、考える以外に解はみいだせません。

すべては人がベース

私は経営管理について執拗に書いていますが、書くだけでは机上
の空論です。
経営とは、なにが基本か、を考えればすぐにわかります。
「人」です。
世の中に多くいるのも「人」、少ないのも「人」とは、新将命さ
んの本の中にある言葉です。

経営管理ができていなくとも「人」がいれば、うまくいっている
企業もあれば、失敗する企業もあるということです。

なにをおいても企業の基盤は「人」なのです。
「人」がいなければ、経営管理など不要です。
経営管理を事業運営の中で体現できる「人」がいてこそ、社会の
中で事業を適正に成長させ、企業の継続的な発展を担うことが可
能となります。

なにをおいても「人」が経営の中心であることは間違いありませ
ん。
どのような人が必要か、経営者自身で解を見出すしかありません。
経営管理は、経営者をサポートする機能(黒子)だからです。

棚卸資産は問題をつくる

棚卸資産ほど会計上やっかいなものはありません。
理由は、恣意的に資産として計上されることが多いからです。

大手企業でも売上が伸びず棚卸資産が増加している場合、棚卸資
産に問題があります。
資産というには、売上に貢献することが前提ですが、売上に貢献
できなくとも資産に計上されていることがあります。
現場に棚卸資産の管理をさせれば、必ずこの棚卸資産は、必要で
す、というでしょう。

資産が売上に貢献できなければ、棚卸資産の除却損を計上したり
、評価損として認識しなければなりません。
現場は、P/Lが減益になることを嫌がります。
もっとも、経営者も減益になることを嫌がりますから、会計処理
は甘くなりやすいものです。

こうして毎期繰り返せば、問題は雪だるま式に大きくなります。
そしてある日、棚卸資産の除却や減損処理をしますが、この時点
になれば、その額が数千万円単位は当たり前で、中に億単位にな
ることがあります。

しっかりとやっているところは、企業で評価基準を定めて恣意的
な棚卸資産評価がなされないよう毎期厳格に棚卸資産を管理して
います。
これも経営管理のひとつとしては、当たり前なのです。