企業会計と税務会計

大手企業と中小企業における会計に関する違い
は、結論から言えば、大手は企業会計をベース
に会計処理をおこない、中小企業の多くは税務
会計です。

辞書などによれば、企業会計とは、主に営利企
業に対し適用される会計手続きの総称。
企業の事業活動を定量化した情報の提供、分析
を目的として実施される。
なお企業会計は、その目的により財務会計と管
理会計、税務会計に分けられる。
財務会計の目的は、企業外部の利害関係者に対
し、企業の財務状態などの情報提供を行うこと
である、となっています。
企業会計に関しては、国際会計基準もあり、複
雑化しています。

中小企業の場合は、税務会計中心に会計処理を
しているところがほとんどでしょうか。
税法に基づいて会計処理をしているということ
になります。

大企業や上場企業の場合、財務諸表は会社法や
金融商品取引法、国際会計基準などさまざまな
会計基準にしたがって作成されます。
一般的には、会計基準に準拠した形で作成され
る財務諸表をベースに、税法で要請される調整
を加え、税務申告用の所得を決定するプロセス
をとります。

中小企業の場合、一般的に最初から税法に準拠
した形で財務諸表が作成されます。
最初から税法ベースで作成されるケースが多い
ので、中小企業の財務諸表は税務申告のための
根拠資料という意味合いが強くなるようです。

他方、大手企業では、例えば固定資産や棚卸資
産の除却などに関して企業会計ベースで社内基
準を設けて会計処理をしています。
必ずしも税法基準ではありませんから、有税
(税金を納付する)で会計処理をする場合もあ
ります。

小企業や個人事業の場合は、このような会計処
理はしませんので、原則、固定資産など税法ど
おり原価償却することが大半でしょう。
税法上、税金を最小化する会計をしているとこ
ろが多いのではないでしょうか。

軽油の仕訳も少々やっかい

昔、私が仕訳をはじめたころ、軽油の仕訳はな
んでこうなるのだろう、と思っていましたが、
その理由を知ることはなかったような気がしま
す。
ガソリン代は、車両費科目を使用して課税取引
となり消費税がかかります。

ところが、軽油は少し違います。
軽油はガソリンと同じように車両費科目を使い
消費税区分は課税取引で計上します。

問題は、軽油引取税です。
同じ車両費を使いますが、消費税区分は不課税
取引として計上します。
レシートをみると、内訳が軽油代、軽油引取税、
消費税の3つに分けて記載されています。
ガソリンは、ガソリン代と消費税だけです。

ガソリンはガソリン税がかかっていますが、課
税取引となり、軽油は軽油本体は課税取引です
が、軽油取引税は不課税取引となります。
記帳に注意が必要で少々やっかいなところでし
ょうか。
仕訳をはじめたころは、なにがなんだか、よく
わからなくなることがありました。
覚えてしまえば、それだけですが。。。

軽油税と同じようにゴルフのプレー費や温泉の
宿泊費の処理をする際、ゴルフ場利用税と入湯
税は不課税取引となり、これらを除いた金額で
消費税の計算をする必要があります。

経理業務は、このように税金との格闘の日々で
もあります。
軽減税率も悩ましい。。。

小企業の消耗品勘定は少しやっかい

小企業の経理で一番困るのは、なんといっても
商品を購入したときの明細書(納品書など)が
、私のところに送られてこないことです。
毎月一覧表にしていただくのはありがたいので
すが、10万円以上の商品等も消耗品と記載され
ていることです。
これが混乱のもとになります。

ひとつは、数万円のものを複数購入して10万円
以上になっているかどうかです。
二つ目は、税法上の一括償却資産と少額減価償
却資産の混同でしょうか。

一括償却資産は、20万円未満の固定資産を単純
に3年で償却してよい制度です。
少額減価償却資産は、中小企業に特例で認めら
れ、30万円未満の固定資産を全額損金処理でき
る制度で、一事業年度300万円が限度です。
また、平成10年度までは、20万円未満であれば
消耗品として損金処理できました。

このように税制は、時代に応じて制度(税法)
が変わっていきますが、中小企業では、毎日税
制を確認しなながら仕事しているわけではあり
ません。
私とて同じです。

ですから、税理士さんに確認をする必要がでて
きます。
顧問税理士さんへ依頼するのは、このような税
制と実務の実態を調整する必要がでてくるから
です。
もちろん、納品書などの明細が必要になります。

消耗品勘定は、少々やっかいな勘定科目なので
す。