どうしても先を急ぐ

中小企業の経営が順調なとき、経営者は、どうしても先を
急いでしまいます。理由は、事業を拡大できるチャンスだ
からでしょう。
事業が順調であれば事業拡大のための融資を取引銀行から
前向きに検討してもらえるものです。

しかし、失敗した事例を実際に、あるいは書物などから学
ぶと、順調なときにこそ失敗の原因が生まれていることが
わかります。
経営者が事業の拡大を目指すのは当たり前なのですが、失
敗の多くは「人」にいきつきます。

人材の育成が事業拡大に追いつかないのです。当然、拡大
できたことは良いのですが、店舗や支店運営が杜撰なもの
になっていくようです。そこから事業の展開が足踏みし、
成長力を落としていきます。

経営は順調なときほど慎重でなければなりません。経営を
拡大させるための人材がそろっているのか、自問自答して
みてください。
人材なき事業拡大は、いずれ砂上の楼閣となることは明ら
かです。

事業拡大において「人材の育成」こそが、先ず優先事項で
す。人材育成のために、立ち止まる勇気も必要でしょうか。

小企業ほどメーカーから情報を聞き出せ

私はメーカーに在籍していましたが、転職した小企業はよい仕事
はしているようなのですが、売上があがりませんでした。
取引がある某メーカーの営業から、いい仕事してくれるので助か
ります、と言われていました。
また、その企業の経営者や社員ともフランクな付き合いができて
いたように思います。

ある日、なにげない会話の中から同業他社の話がでてきました。
その会社は、現場がないときは、全員で営業をしており、着実に
業績をあげています、と話してました。
また、メーカーとの関係がよく、メーカーが困ったことがあると、
だいたいそこに依頼するように上司から指示される、とのことで
した。

メーカーの担当者の話を聞いているだけで、その企業の経営姿勢
がみえてきます。
私は、メーカー営業から聞いたこの話をベースに全員営業をする
ことにしましたが、新規開拓の方法は独自に考えてやらなければ
なりません。
さすがに、営業ノウハウまで情報収集できるわけがありません。

メーカーの営業を大切にしておけば、メーカーの取引先は膨大で
す。
数々の情報をもっています。
小企業にとってメーカーとの取引は、自社の営業政策を考える上
で大きなヒントをつかめるでしょう。
メーカーの営業を大事にしておくことは、販促などもありますが、
情報こそがもっとも重要な要素です。
自社の行動原理をどのように作るかが、競争優位に直結するから
です。

小企業といえでも自主独立の気概が必要です。
メーカーは、メーカーに甘ったれる主体性なき企業を嫌います。
自社の責任で仕事をしていく企業には、多くのメーカーがサポート
していました。
このような企業は、販売促進でもメーカーを恫喝するのではなく、
あくまで協力してください、という姿勢を貫いています。
だからこそ、多くのメーカーが進んで協力していたように思います。
日ごろから謙虚な姿勢が貫かれていたのが特徴でしょうか。

メーカーを指導できる中小企業

私の会社人生はメーカーからスタートしました。
ナショナルブランドですから全国に支店があり、多くの中小企業
と取引をしていました。
関係が良好な取引先(いわゆる代理店)は、メーカー(私がいた
企業)のいいなりといってもよかったでしょうか。

私は、どういうわけか、新入社員のときから規模が大きな代理店
(中小企業ではありません)を担当することになり、私がいたメ
ーカーの立場など尊重してもらえる環境にありませんでした。
むしろ取引先から厳しく指摘を受けることが多く、営業活動は苦
戦の連続でした。
それでも取引先の営業担当者とコミュニケーションをとることが
できるようになり、取引先がもっていた優良な量販店へあらゆる
商品を納入することができました。

メーカーのいいなりになるとは、月末メーカーの売上に協力する
ため無駄な在庫をかかえるということです。
メーカーの押し込み販売に協力する、ということですが、メーカ
ー側は販促費が増えますし、代理店側は過剰な在庫と資金負担が
増えることになります。

福岡へ転勤し担当した有力代理店は、このような販売とは無縁で
メーカーのいいなりになることはありませんでした。
過剰な在庫負担による資金繰りの話をされ、そのような販売は当
社(取引先)はやらない、と言われました。
一営業所の話ならわかりますが、他の営業所でもきちんと指導さ
れており、企業の営業姿勢が貫徹されていました。
メーカーが商品を押し込んでも、当社(代理店)が販売するとこ
ろがないものは購入しない、と明確です。
当然と言えば当然なのですが、販売計画に基づく仕入をしていま
した。
私はカミナリに打たれたような衝撃がありました。
これがきっかけで私の販売施策は根底から変わることになります。

このような企業は経営姿勢がきちんとしており、私が在籍した企
業よりもはるかに進んだ経営管理システムをもち、九州へ進出し
てきばかりのセブン・イレブンとの取引を開始しています。
今日でも、その企業は着実に成長を続けています。
メーカーを凌駕する経営ノウハウや中小企業にしかできない細や
かな対応など、メーカーが基本から学ぶべき要素をもっていまし
た。
私はこのような企業から経営姿勢を学ばせてもらった、と感謝し
ています。

メーカーにすりよるような中小企業ではどうにもなりません。
このような中小企業は、その後、ほとんどが倒産しました。
中小企業、大手企業、あるいは経営者、社員が自責で考えて行動
できる企業は強い。
私の結論です。

会計情報ではわからないもの

多くの企業をみてきましたが、会計情報だけではわからないこと
があります。
経営者の資質、従業員の能力(広義)、あるいは取引先や利害関
係者の人的状況、さらに経営に関与する外部の人たち(弁護士、
公認会計士)など、企業経営は経営数字とともに多くの人的要素
で成り立っています。

経営数字がどのように変化していくかは、実は、人的要素次第と
も言えます。
経営とは、人が考えて行動することでしか、お金を生み出さない
からです。

その意味で私は営業時代、人的要素をじっくりと観察してきまし
た。
結果は、経営者の資質が従業員の資質となり、企業経営の成果に
大きく影響するということでした。

やはり、経営者が経営理念をもち的確な指示を出し、適正な方法
で企業活動をおこなうということを従業員教育で徹底している企
業は強い、ということでした。

経営はむずかしくありません。
経営を支えるのは、従業員しかいません。
しかも、優秀な人間ばかりがいるわけではありませんから、その
従業員をしっかりと育成している経営者がいる企業が社会から信
頼を得ているだけではないでしょうか。

今でも、このような企業は成長を続けています。

働き方の中身は大丈夫

企業における働き方には、労働基準法に基づき、以下の制度が例
外的に定められています。
詳細は、資料等を読んでください。

・ 変形労働時間制
・フレックスタイム制
・事業場外みなし労働時間制
・裁量労働制
・高度プロフェッショナル制度
・適用除外(管理監督者等)

結論からすると、どれも要件があり、詳細な制度設計が必要です
が、多くの企業では、とくに中小企業ではおおまかに運用してい
るところもありそうです。

裁量労働制は、大手企業でも導入が進んでいるようですが、本当
に法が定めた要件を充足しているかという点で、問題もありそう
な気がします。
労使委員会の4/5の決議が必要などの要件がありますが、実態は
形骸化していると、考えています。

理由は、私自身が担当部門の責任者としてやってきたからです。
他にも理由がありますが記載できません。
多くは、残業代の削減が前提です。
大手企業の場合は、さすがにサービス残業目当ての導入ではあり
ませんが生産性の向上が前提でしょう。
いかに所定内以下で仕事を終わらすか、ということでしょうか。
簡単ではありませんが。。。
中小企業の場合は、サービス残業隠しもありますから、注意が必
要です。

わが国の場合、過去は残業代を含む賃金設計でしたから、労働基
準法が、そもそも現在の労働環境にあっていないということです。
過去は長時間労働と残業代で事業をおこなっていたのですが、そ
の前提は、長時間働けば成果物もそれだけ増えるという第二次産
業が主流だったということです。

現在、第三次産業ですから、長時間労働=成果物の増加とは簡単
にいきません。
それでもソフトウェア産業などは、長時間労働で働くことが当た
り前のようですが。。。
飲食業なども、長時間働けば、それだけ売上増になります。
総額人件費を下げたい企業からすれば、あの手この手で労働時間
制度を導入しようとします。
しかも、もっともらしい理由で。。。

このほか契約社員、パート、アルバイトなどを雇用するのは、い
かに人件費を下げるか、と日々考えているからです。
だからこそ、私は最低賃金1500円といっているのですが。。。

賃金を上げることは、付加価値がある製品やサービスを生み出す
ことを本旨としています。
この国はいつまでも低賃金状態で、いわば発想が人件費を下げる
という旧態依然なことをやるから成長しないのだ、と。
もっとも人件費だけでなく、コスト削減主義に呪われた経営者で
は、現状を打開することは不可能なのかもわかりません。
あまりにも不正などの問題が多くて。

疲れた国の一日が、またはじまりますが、今日は、なにに呪われ
るのか。。。

これからの労働時間制度に関する検討会報告書(厚生労働省)

販売管理システムの導入を考える

売上高が大きくなり取引先が20社を超えるようになる場合、また
支払サイトが企業別に違うときなど、販売管理システムを導入す
るタイミングです。

Excelを使用して販売管理をおこなっているところが多いと思いま
すが、受取手形があったり、サイトが取引先別に違う、あるいは、
振込手数料の取扱いが取引先別に違うといった複数の要件設定が
ある場合など、管理上間違いが多くなります。

このようなタイミングで販売管理システムを導入して、入金の消
込まで自動化できれば最高です。
中小企業の場合、入金消込の自動化までできなくとも、成長余力
がある場合は、積極的にシステム化しておくべきです。

販売だけでなく、仕入も同様にシステム化することで大幅に生産
性があがり、攻めの経営体制を構築することが可能です。
とにかく、中小企業の生産性の低さは、事務部門にあることが多
く、無駄な仕事を手作業で繰り返すことが、その本質にあります。
楽々精算ではありませんが、伸びる企業ほどはやめに経営体制の
デジタル化をすることが必要です。

私ですら、納税証明や登記簿謄本などデジタル化されている機能
は、普段から利用しています。
請求管理も新たにクラウドタイプのシステムを導入しました。

投資額は、私が現役の時代から比較すれば雲泥の差です。
安い。。。
このようなチャンスをどのように捉えるかは、経営者の能力次第
です。

他人頼りの経営

この頃、メールをみていると他人を頼る営業が多く散見されます。
いわゆる、大手企業に在籍していた人たちなどに依頼する営業で
しょうか。

このように他力本願な営業活動で盤石な経営基盤を築くことはで
きないでしょう。
理由は、自分というものがないからです。
本来、経営は自分があってスタートするものです。
自分とは、商品価値やサービス価値、いわば独自性など企業のユ
ニークポイントです。

元在籍していた人に頼んだだけで大手企業との取引ができるほど
世の中は甘くありません。
本来、大手企業が必要なものであれば、独自に取引を開始できま
す。
大手企業は、自社に必要な要素は血眼になって探しているもので
す。

このような他力本願な企業は、紹介者へ支払う報酬が低いことか
らもしても、要領よく取引できないか、という下心がみえていま
す。
本当に商売を理解しているのかも疑わしいものです。
私は、このような依頼は一切受けません。
このような企業が成功することはほとんどないからです。

なにごとも自分で努力するからこそ、企業は成功というポジショ
ンを獲得する、と考えています。
勿論、多くの失敗が前提ですが。。。

くびになるパターン その二

中小企業が大きくなっていくときにむずかしいかじ取りのひとつ
が、従来からいる人材、あるいは創業期からいる人材の処遇です。
株式公開を考える場合、企業に必要な要素が大きくかわります。
いわゆる業務の専門性です。

従来からいる社員を部長などに処遇していれば、当人は、相当な
焦りがあるでしょう。
だいたい、このタイプは社長に近いということで権威を振りかざ
しますが。。。
実務能力はありません。

そこへ転職組が入ってきてあらゆる仕事の見直しをおこないます
から、その点で専門的な知識がなければ、仕事に対応することが
できません。
このような処遇をおこなっている経営者は、それでも株式公開で
きると考えているようでした。

私がくび(解雇)になったパータンその二は、こんな状況だった
でしょうか。
このように従来から在籍している人が、転職してきた人たちと徒
党を組み、私を排除しました。

ある日、社長から呼ばれて、やめてくれの一言。
話を聞いていると、お前が勝手になにかをやっているというよう
なことでした。
私は、この手の話に乗りません。
このような環境は、私にはめんどくさい、としか思えません。
所詮、このような話に乗る社長は、先が知れているからです。
即答。
退職します、と。
さっさと切り替えて、次の仕事を探します。

数年後、この会社は見事に倒産しました。

私の経験したなかでは、このような状況は、案外多いのです。
転職する場合、中小企業の本質的課題でもありますが、転職者は
無駄な転職にならないように注意が必要です!

仕事でLINE活用が多くなってきた

今年、仕事用のスマホはLINEMOへ変更しましたが、正解でした。
理由は、仕事でLINEを使う機会が増えてきており、忙しい時期に
LINEなしでは仕事になりません。
追加資料でも写メでやりとりできますし、ダウンロードと保管も
簡単です。
必要に応じてスマホからプリントアウトもすぐにできます。

つい最近、火災保険と自動車保険を新たに入りなおしましたが、
ほとんどのやりとりはLINE。
決済は、QRコードからクレジットカードを設定するだけと、こ
れもいたって簡単。
この企業のオリジナル!

仕事の中にLINE活用が進んでいることがよくわかります。
また、企業独自にQRコードを利用した決済システムを構築して
おり、デジタル化の波は急速です。

我が国のよいところは、動きだすとみな横並びで素早く転換して
いくことでしょうか。
動きだすまでは、世界の孤児ですが。。。

まぁ、素早いのはよいのですが、独創性がどこまであるかは、疑
問が残ります。
我が国の経営者は、あの企業は、すでにこのようにデジタル化を
進めていますよと、言えば、比較的簡単に決裁がおります。
横並びが好きです。
考えることがなく、自分の身も安全だからでしょうか。

主体性あるデジタル化が必要なのですが、ここでもおそらく横並
びが続くでしょう。
それでもデジタル化が進まないよりましですが。。。

それにしてもLINE恐るべし!

デジタル化は中小企業のビジネスに厳しさを増す

今、デジタル化が急速に進展しています。
いろいろな窓口にいくのが嫌な私は、とくにコロナと関係なくめん
どくさいという理由だけなのですが、デジタル化のおかげで精神面
で助かります。
私は、いわゆる横着者です。

登記簿謄本も納税証明書もデジタル化で簡単に取得できます。
もっとも、国税庁と法務省では若干仕組みが違いますが、それでも
私のような面倒くさがり屋にはうってつけです。

このように私の知らないところでデジタル化が急速に進む社会は、
当然ですが、活用できる企業とできない企業では大きな差が生まれ
ることになります。
いずれ生産性の差がでてくるでしょう。

デジタル化が進む社会では、淘汰も劇的に進む可能性があります。
デジタル化だけでなく、自動化も同様でしょうか。
他方、デジタル化と真逆な分野では、人あまりから賃金が低下して
いくことも考えられます。
私は、最低賃金1,500円派ですが。。。

デジタル化はうまく活用すれば生産性を上げていきますが、企業で
も個人においても利便性を積極的に受け入れる人や企業と、利便性
を活用できない個人や企業との格差は益々大きくなるでしょう。

さて、国全体でみたときに生産性があがるかどうかは、また、別な
角度から調べる必要がありそうです。
あくまでデジタル化の恩恵があるかどうかは、国全体からみてとい
い視点がかかせません。

なんのためのデジタル化となりそうです?
本来、横着者の私だけが喜んでいる場合ではないのです!