今年は稲刈りが遅いような

私が住むエリアでは、例年ならこの時期に稲刈がはじまっていま
すが、今年のような天候不順では稲の生育も厳しいようです。
気候の変化は、いろいろなものに影響しますが、この地でわかり
やすいのは稲作でしょうか。

4月下旬から田植えがはじまり、8月下旬から9月上旬の稲刈り
までが稲作の季節になります。
もっとも、私の記憶にある稲刈りは10月ごろで、稲は眩いばかり
の黄金色に輝いていますが、この地では稲刈りがはやいためか、
黄金色に輝く稲を見ることができません。

記憶の中にある風景と違和感があるのは、そのような状況だから
だと思われます。
9月下旬から10月上旬、地方へ旅行へいくと稲が黄金色に輝いて
いる風景にしばしば出会います。
その風景こそが、記憶にある稲の姿なのです。

人間のなかにある原風景は、まざまざと残っているものです。
遠い日が確実に蘇ってきます。

残念ながらこの地の稲では、あの日の風景が蘇らないのは少々残
念ですが、それでも田んぼの風景を眺めていると、とても心地よ
いものです。

田植えも、刈り取りもはやい

この地では、4月29日前後に田植えがはじまり、5月3
日ごろには終了しています。
昔とちがい、大勢で田植えをする光景などまったくあ
りません。
だいたい、農家の方がひとりで田植え機を運転しなが
ら田植えをおこなっており、この当たりの田んぼひと
区画なら1時間もあれば終わってしまいます。

稲刈りは、8月下旬にはじまり、コンバインを使ってお
こないますから、こちらも2時間もあれば終了です。
私がみてきた田植えや稲刈りの景色とは、隔世の感が
あります。

農業的景色と工業的景色の違いでしょうか。

それでも田んぼで暮らす生き物たちにとって水田はな
くてはならいものでしょう。
田んぼの風情は、これから育っていく稲と生き物たち
をみていくなかで感じることができます。
毎年同じ景色をみているのですが、心のなかの原風景
を呼び覚ましてくれるから不思議です。

生き物たち同様、私にとっても、水田は心を穏やかに
してくれるものであり、なくてはならないものなので
す。