経営管理は最低限の機能でしかない

企業経営は複雑な要素でできあがっていますが、実は、経営管理
だけしていればよいわけではありません。
経営管理は、あくまで企業経営のベース(黒子)になるだけです。
経営管理ができていれば企業が成長発展するわけではありません。
理由は、経営管理は過去の情報だからです。
あるいは、企業経営の骨格を支えている仕組みのひとつでしかあ
りません。
いわば経営における最低限の機能でしょうか。
もっとも、それもできていない企業が多いのが実情でしょう。
だから、問題噴出となります。

企業は経営管理をベースにしながら、企業に集う人間が創造し、
ダイナミックに行動することでしか発展はありません。
経営管理はできていても成長が止まる企業は、人間を中心とした
行動原理が欠如していると想像されます。
企業運営において人間を活かすためにどのような機能を構築する
かがポイントでしょうか。
人間の能力をどのようにして企業活動に活かしていけるのか。
答えは、経営者自ら出していくしかありません。

経営管理は、やろうと思えばどのような企業でも可能です。
経営管理だけで企業の競争優位をつくることはできません。
どこまでも経営管理をベースに人を活かす機能をどのようにつく
るか、という人間の創造力が勝負かもわかりません。

私は人間関係が苦手ですが、こと企業活動では、人間を中心とし
て行動し、考える以外に解はみいだせません。

デジタル化で不正がなくなる?

コロナ感染症の影響を受けてデジタル化推進が
叫ばれているところですが、さて、デジタル化
で不正などが少なくなるのでしょう
か。
現実は、そう簡単ではないでしょう。
結論からいえば 、デジタル化であれ、紙による
処理にしろ、手順を踏んだ内部けん制システム
と内部監査システムのふたつの機能が必要です。
それでもデジタル化は不可逆的な流れですから、
推進していくこになるでしょう。

では、どこで問題が発生するかといえば、人間
が介在する部分です。
人間は、悪いことをやろうと思えば、あらゆる
ことができるようで、私には考えられないこと
をいとも簡単におこないます。
それだけの執念があれば、まともなことにエネ
ルギーを使えばと、思うのは私だけではないで
しょう。

デジタル化でも二段階認証が当たり前になって
いるとおり、不正をけん制するシステムの構築
とそれにかかる時間や手間は、デジタル化の流
れに反するものですが、リスク管理上、増える
ことはあっても減ることはないでしょう。

ましてデジタル化の象徴のようなインターネッ
トバンキングを企業が利用する場合、中小企業
では、担当者任せでおこなっているところもあ
りました。
驚くような光景です。
他方、大手企業でも数多くの不正がおこなわれ
ていますが、日常的な内部けん制(スマホでい
えば二段階認証のようなものですが)をおこな
い、さらに第三者であつ内部監査を徹底するこ
とが重要です。

これでも不正は、おこなわれるでしょう。
しかし、日常的な内部けん制と抜き打ち的な内
部監査でかなり防ぐことが可能となります。
また、仮に防ぐごとができなくともはやい段階
で不正を発見することが可能となります。

大体、担当者や外部の取引先と結託される不正
はなかなか発見されにくくなります。
担当者の異動が必要なのは、このような不祥事
の芽を摘み取るためでもあります。
事業収益が上がらない現状では、どこまで投資
できるか、という経営判断が必要なのかもわか
りません。

いずれにしても人間とは、複雑な生き物であり、
今日ように人間関係ギスギスしている時代こそ、
人間の原点に立ち返った経営が必要ではないで
しょうか。

活力がある企業ない企業

企業には、活力があるところとないところがあります。
その実態をつかむのは、なかなかむずかしいものです。
理由は、管理能力が優れていても優れていなくとも、
活力がある企業があり、他方、その逆、活力がない企
業が存在するからです。

活力があるところに共通する要素は、社員が自由闊達
に仕事をしていることでしょうか。
管理能力が低い企業でも社員の能力が高く、身近な実
務に関していえば、他社を圧倒しているようでした。
組織の管理能力が高ければ、社員の能力の高さとの相
乗効果で、さらにレベルが高い活動になっていくよう
です。

「活力」とは、辞書によれば、「人間や組織が活発に
活動するための力」となっています。

一方、活力がない企業は、組織の管理能力が高くとも
社員がバラバラで一体感がなく、仕事のレベルが向上
していきません。
いろいろな施策をやろうという意欲が低く、高収益を
支えている仕組みに安住している状態とでもいえるで
しょうか。
とにかく活力がありません。

企業というところは、人間がつくるところだけにその
状況をつくっているのは、また、まぎれもなく人間そ
のものです。
特に、活力がない企業では、創業者に限らず、経営ト
ップに課題がありそうです。
しかし、社員に活力がなくとも高収益企業にいたって
は、その経営を批判することのむずかしさは並大抵で
はありません。

さて、答えはひとつではないでしょう。
みなさんも考えてみてください。