現場で汗をかき、考えて、試行錯誤する

場で汗をかいて、考えて、試行錯誤を繰り返しできる人が少な
いように思うのは、私だけでしょうか。
とくに問題を起こす企業の経営層は、現場を経験したことがある
のか、と思ってしまいます。
あまりに稚拙なことの連続で。。。

また、現場を理解しているが、見て見ぬふりをする経営層もいそ
うです。
こちらは、前者よりさらにたちが悪い。
歴史ある企業に多いようにみえますが。。。
暗黙の了解???

いずれにしても、トヨタではありませんが、現場、現実、現物で
しょう。
トヨタの社長が、現場へ入り込むのは、現物をみて、現実の厳し
さを理解することが必要だからだ、と考えています。

それに比べると不祥事を起こす企業の経営層の顔がみえないのは、
理にかなっているのかもわかりません。
そのような企業を選択するかどうかは、私たち次第ですが。。。

事業の構造転換は必要

現場が劣化すると企業全体は衰退していきます。
経営層が悪くとも現場がなんとかやっている企業では、企業経営を
遂行していくことは可能です。
しかし、当然ですが、現場の戦術に対する補強がない状態が続くと
その企業は衰退していきます。

むずかしいのは、戦術的補強が必ずしも企業の成長や現状維持につ
ながらないことがあります。
競合他社のほうが、有利な状況の場合などがあり、撤退もひとつの
選択肢です。
この時点における経営判断が非常にむずかしく、あいまいになるた
め日本企業はずるずると消耗戦になることが多いような気がします。

現場が強いうちに経営戦略、すなわちなにをすべきかを検討してお
かなくてはなりません。
資金力が必要です。
長期戦になります。

成長余力がない市場では、中小企業は倒産、破産、大手企業では企
業間の合併になっていきます。
現場は優秀だが経営戦略を担う経営層は、貧弱だというのが我が国
の特徴ではないでしょうか。

ソニーのコロンビア買収は、当時大きな話題となりましたが、現在
ではゲームや金融とならぶ稼ぎ頭です。
現場が優秀だといってもいつまでも同じ環境が続くわけがありませ
ん。
事業の構造転換は必要です。

現場の優秀な技術者や生産部門の人材は、新たな展開をしていくほ
うがよいというのが、私の持論です。
家電であれば、中国などと競争できる環境が必要です。
アイリスオーヤマなどの挑戦は、新たな挑戦といえるでしょう。
少子高齢化といえど市場はあるのですから、新たな挑戦する気概が
ある人たちによって、これまでのビジネスモデルを壊していく挑戦
を応援する仕組みが必要ではないか、と考えています。

現場型の再挑戦ですが。。。
アイデアは、市場と現場の相互作用から生まれるものです。

権限移譲すると時間がかかる?

権限移譲すると時間がかかるか。
結論から言えば、時間がかかる場合もあれば、
かからない場合もあるというのが回答です。

権限移譲して管理会計を実施する場合、現場の
課長級は大変です。
自分の仕事をおこないながら事業計画を策定す
ることになるからです。
覚悟が必要です。
もっとも、ソニー子会社時代の課長級はみな楽
しんで事業計画を作っていました。
私も人生で一番働いたと思いますが、本当に楽
しんでやったと思います。

今書くとこうなりますが、実際やっている途中
は、締め切りとの闘いです。
権限移譲して事業計画を作ると、現場ではかな
りの時間を割くことになります。
また、課長級の負担も相当なものです。

他方、課長級が策定した事業計画が承認されれ
ば、その後の動きはすばやくなります。
当然ですが、実行者が策定した計画だからです。
毎月、課長会議で進捗報告することになります
が、これはこれで大変です。
役員から文句言われるから?

自分の能力が、衆人の前に丸見えになるからで
す。
適当な答えではぐらかしても、現場責任者がや
る会議ですから、簡単にごまかせません。
厳しい質問が、役員からでなく、まわりの責任
者(同僚)から飛んできます。

役員は、にやにやしながらだまって聞いている
だけです。
たまに質問されますが、役員への回答でも能力
はまるみえでしょうか。
タフな会議です。

私の個人的な考えですが、重要な仕事とはある
程度時間がかかるものです。
無駄な仕事はシステム化することや仕事そのも
のを廃棄する必要がありますが、事業計画や事
業の進捗には、それなりの時間が必要です。
そのためにも管理会計をおこない、事業計画を
現場サイドで策定し、実行し、そして評価する
体制が必要だと、確信しています。

小さな企業ほどいろいろな展開ができる

私は小さな企業、従業数10名程度ですが、に在
籍していました。
結論から言えば、小さな企業ほどいろいろなチ
ャレンジができます。
理由は、仕事量の変動が大きく、暇な時間が多
いからです。

だいたい、小さな企業では、下請け仕事が多く
元受の事情によって仕事がまわってきます。
在籍していた企業は、面倒で手間がかかり費用
を抑えるような仕事ばかりきていたでしょうか。

電気工事業でしたから仕事がなければ、工事担
当は、さっさと帰宅しているような状況です。
営業担当も既存の元受ばかりまわりますから、
なかなか仕事がまわってきません。
いわゆる競争力がない、ということです。

こういうときこそ、総力戦で新規開拓をするチ
ャンスです。
私は管理の仕事でしたが、もともと営業あがり
ですから、みなを集めて、まずは利益構造、い
わば自分の給料がどこからくるか、ということ
を職人さんへレクチャーし、暇なときはすべて
の人間で営業をやります、と宣言しました。
もちろん、私も営業します。

反対する人間もいますが、私と組んだ職人さん
が新規の工事を獲得してきて、実際に仕事をす
ることで納得しました。
そのうえ、これまで現地調査費用をもらってい
ませんでしたが、新規の取引ではこの費用も頂
戴し、利益も十分確保できる取引額でした。

一方、はじめて仕事をみた私は、職人さんの手
際のよさに感動しました。
技術力がある、これはいけると。。。
小さな企業ほど現場です。
当然ですが、新たな取引先から継続して仕事依
頼がきました。

小さな企業は、やろうと思えばなんでもできま
す。
先導していく人がいれば、あとは、自律的に動
きだします。
小さな成功体験を積み上げることが一番ではな
いでしょうか。

特定の社員の話しか聞かない経営者

私が在籍した企業のなかには、特定の社員の話しか
聞かない経営者(創業者)がいました。
当然ですが、このような経営者は、企業活動の全体
をみることができません。
特定の偏った意見によって企業経営をおこなうから
です。

このタイプの経営者は、創業当時から在籍している人
や、中途採用の中で自分が気に入った人だけに意見を
求めます。
古くからいる社員は気心が知れ、話しやすいのはわ
かりますが、少なくとも株式上場を検討しているス
テージでは、組織機能を担える能力があるかどうか
で社員を判断すべきでしょう。
このような経営者につく社員は、だいたい自分のこ
としか考えていませんから、企業活動は、低調にな
ります。

在籍する一般社員は、このような状況をよく把握し
ており、意見を述べたりすることがありません。
また、このような経営者は、一般社員から企業実態
を把握するようなこともないでしょう。
私のようなタイプは、告げ口から解雇になりました
が、気にすることはありません。
所詮、そのレベルの経営なのです。

ソニーと真逆といってよいでしょうか。
私がいた時代のソニーは管理職などは、積極的に経
営層に意見をいい、経営層も意見をよく聞いていま
すが、決定的に違うのは、経営層が現場を歩くこと
です。
現場の実態と管理職などの見解が乖離していないか、
自らの目と耳で確認していきます。
生半可な意見だけで経営判断をすることはありませ
ん。

当たり前の結果ですが、前社の経営は破綻(倒産)
し、後者は、業績のアッダウンはありますが継続的
に発展、成長しています。

経営は、シンプルなものです。
むずかしく考えることはありません。