管理会計はかなりやっかい?

管理会計では、利益を生み出す課や部を利益単位、いわゆるプロフィット
センターとして機能させます。
また、管理部門のような利益を出さないセクションは、コストセンターと
して把握します。

言葉では簡単ですが、実際に課や部単位で機能させるためには、例えば、
オフィスの賃貸料(家賃)は、課や部が使用する面積に応じて家賃を割り
出さなけれなりません。
また、リフレッシュコーナーなどは共通費として総務部が家賃をもつとい
った取り決めをおこないます。

総務部では、面積を割り出すためにCADで図面を引き、各課や部ごとの
家賃を試算します。
家賃に限らず、課や部別に給与、法定福利費、あるいはリース費用などを
集計して予算資料としてまとめなければなりません。
現在では、管理会計ソフトである程度のことはできますが、正確な費用を
もとめる場合、やはり詳細な検討が必要になります。
しかも、ソニー子会社時代のように課や部の統廃合が頻発すると管理会計
は大変な作業になります。
このような変更は基準日を決めて実行しますが。。。

管理会計を実施する場合、企業の運営実態、課や部の統廃合が多いのかど
うか、といった企業独自の運営状態を把握したうえで実施していかなけれ
ばなりません。

一番やっていけないことは、管理会計にしばられて企業運営の柔軟さを失
うことです。
人間は安定している状態に安心感をもつ生き物です。
事業が安定し、管理会計も順調ならいいのですが、いったん企業の発展ステ
ージを大きく変える場合など、いろいろな仕組みを改革することになります。
そのとき必ず管理会計などの変更ができません、といったエクスキューズが
でてきます。

所詮、管理のための会計の仕組みですから、事業プロセスが変わっていけば
管理会計も変更していくべきです。
なんのための管理会計かをよく理解して運用することです。

管理会計が先ではなく、常に事業あっての管理会計です。

大手企業と中小企業経理のむずかしさの違い

経理の仕事をしていると、中小企業の経理は、大手企
業と違うむずかしさを感じます。
理由は、経理処理が千差万別だからです。
いわゆる簿記でならったような仕訳ばかりではありま
せんし、発生主義会計現金主義会計がまざっている
のも特徴でしょうか。
大手企業では考えられない対応が求められます。

大手企業や上場を目指す企業では、その前提となる会
計処理が厳格だからですが、厳格とは別な言葉で言い
直せば会計処理が標準化されているということです。
その上、会計システムが充実していますので、比較的
経理の仕事は単調なものでしょうか。
むしろ月次決算のために経理処理の正確さとスピード
が要求されます。

もっとも、大手企業などでは、管理会計が必要になり
ますので、こちらの対応のほうが非常に多くの作業時
間を取られます。
現場と会計をつなぐ部分は、人が介在すればするほど
複雑化していきます。
現場要素を会計的な指標に落とし込むことが求められ
、現場をひとつの経営単位とみなしていくことで経営
判断的な要素も入ってきます。
きめ細かな部門運営をすればするほど、会計的な対応
も複雑化していきます。

他方、中小企業では、管理会計をやっているところも
あるでしょうが、私が対応している企業ではそこまで
やっておりません。
むしろ経理処理は、企業規模や従業員数、個人か法人
かで結構違いがあります。

大手企業などと大きく経理処理が違うのは、その処理
をする期間でしょうか。
大手企業などでは月次決算をおこなっていますので、
日々の経理処理に追われます。

一方、中小企業では、2か月、3か月、6か月、遅い
場合は1年間まとめて伝票等を計上することです。
月次で対応するところが圧倒的に少ないのが現状でし
ょうか。
中小規模では、自ら商売してますから、月次の売上と
経費、そして大雑把な利益は、およそわかります。
あわてて経理処理を依頼する必要もないのです。
どちらかと言えば、確定申告のために経理処理をして
いることになるでしょう。

それでも電子帳簿保存法の施行により、ルールに乗っ
取った対応が必要になってきます。
私は、可能な範囲で電子帳簿保存に対応していくよう
アドバイスしています。

何事も一気にやるといろいろなところに支障がでるか
らです。
また、私は大手企業で経理をしてきた関係で月次処理
が体にしみついているようです。
自らの会社(個人事業)の記帳でも、昨年から電子帳
簿保存にし、2か月以内に請求書や領収書の記帳をお
こなっています。
このやり方のほうが、会社勤めの時代と同じで自分に
はあっています。

また、この方法だと、最終的に確定申告前に記帳内容
を十分チェックをすることができ、節税対策も可能に
なると考えています。